鬱病

鬱病と職場復帰

鬱病と共に生きる

私は、今では看護師歴25年以上のベテランナースです。

今から10年前二人目が生まれた時に起った出来事です。

 

主人はちょうどその頃、職場の配置替えがあり、環境が変わったばかりでした。

主人にとってもその配置換えは願ったり叶ったりというようなタイミングでしたので「良かったね。」などと喜んでいたのです。

・・・。

でも、フタを開けて見たら、以前の場所よりも人間関係がズサンで劣悪な環境だったのです。

その頃から何となく元気が無くなり、次第に笑顔が消えていったように思います。

口数も減り、何だか悩んでいるような雰囲気が多く見受けられるようになりました。

私も最初のうちは『慣れない場所だから気を遣ったりして疲れているのだろう』程度にしか

捉えていませんでした。

育児休暇中の私が出来ることは、”朝に晩にキチンとご飯を作ってあげることだ”と慣れない育児と家事でしたが一生懸命にやってあげることで励ますようにしていました。

そんな毎日を繰り返しながら過ごすうちに、少しづつ夫は笑顔を失っていったのです。

何を話しても ”上の空” というような様子が増えていき、眠れなくなって精神科で睡眠薬でも処方してもらうよう勧めましたが受診せず、疲れたような表情に日増しに変わっていったのです。

私自身家族として何がしてやれるのか模索する日々が続きました。

 

パートナーである夫が元気に仕事に行ったり、ご飯を食べられなくなることは、私にっと寂しいことでした。その姿を目にするたび、私の身体からもエネルギーが無くなっていくような感覚だけが残るような、そんな日々をやり過ごしました。

それでも、そんなことでめげている暇などはなく、忙しく家事に育児に追われる日々でしたので、母親として、妻としてやるべきことをやってやるだけです。

目の前のことだけに真剣になろうと心に決めて、『私がこの家を守っていかなければ!』と、挫けそうになる自分を奮い立たせて家族のために生きるだけでした。

そんな私の心の支えは家族であり、子供たちの笑顔そして職場復帰することでした。

職場復帰すれば、夫の精神的負担を少しは和らげられるような気がしたし、経済的にも

安定すれば夫が元気になるのではと思っていたからです。

念願の職場復帰を果たし、職場では気丈に振る舞い、1日も早く家が落ち着くことを願いながら毎日の仕事をこなしましました。

そんな私の献身的な努力や気持ちとは裏腹に、主人の鬱は悪化してゆくばかりでした。

「死にたい」「死にたい」と思い悩むそんな夫の姿が寂しくて寂しくて、目の前のことに集中していたはずの自分の目からハラハラと涙が零れ落ち、止めることが出来ないのでした。

やっとの精神状態の中で自分自身の気持ちと、主人に向き合いながら、そんな日々をやり過ごし、仕事をしていたある日、

ある患者様の状態が悪化し亡くなったのです。

私は、何だかとても怖くなり、涙が止まりませんでした。

今までも、このようなケースは何度も経験してきてきたのに、白い布をかけられたご遺体は

他人とは思えず、・・・もしかして・・・と、私を身震いさせったのでした。

その時初めて、主人の鬱が私の心に及ぼしている影響と恐怖をまざまざと感じた瞬間でした。

その後もたびたび、亡くなられる患者様を見るたびに、フラッシュバックが起こって恐怖に足が竦むのでした。

・・・

あれから10年の月日が経ちました。

主人の鬱も何とか良くなり、家族に笑顔が戻りました。

私もあの時、主人を支えながら、実は自分も鬱だったのではないかと思う今日この頃です。